2023年のGWのひがし茶屋街は、とにかく人が多すぎてそそくさと退散しましたが、今回(2024年3月)は人が少なかったので、ゆっくりと建物まわりを色々散策してみました。
今回は、「ひがし茶屋街の謎と知られざる絶景」をテーマに書いてみたいと思います。
巨大なスコップ
裏道を歩いていると、建物の壁にこんな柄の長すぎる(4~5mある)スコップが掛かっています。場所は、「くるみや」のななめ向かいあたりです。
いつもブログでお世話になっている、ライダーマンさんが紹介している「東山あいおい」さんのお店がある通りでもあります。
このスコップがかかっている建物は、老舗お茶屋の「懐華楼」で、スコップも懐華楼の所有物だそうです。
このスコップが何に使われているのか調べてみたところ、今は使われておらず、よくわからないらしいです。
様々な説があるようで、氷柱落とし、氷室用(雪を利用した冷蔵庫みたいなもの)、
屋根雪対策用だとか言われているようです。
用途は不明らしいですが、150年以上前からあることはわかっているようです。
はしごで使われていた木材を再利用しているため、柄に穴があいているのが特徴です。
氷室といえば、金沢では、「氷室開き」というイベントが毎年6月30日にあって、その時期だけ「氷室まんじゅう」を食べることができます。そういや最近、氷室まんじゅう食べていないなぁ。そのあたりの時期に金沢に行く方は、是非和菓子店をのぞいてみてください。
軒先のとうもろこし
ひがし茶屋街を歩いていると、こんな感じで軒先になぜかとうもろこしがかかっているのを見かけます。
これは「門守(かどもり)」と呼ばれる風習で、魔除けと商売繁盛を願っておこなわれているものです。
このトウモロコシは、「長谷山 観音院」で祈祷を受けたものになります。
金沢では、夏になると「四万六千日(しまんろくせんにち)」という張り紙をあちこちで見かけるのですが、これは、旧暦の7月9日に観音院に参拝すると、なんと、46,000日分ものご利益があるという江戸時代から続く風習です。その日のみに授与されるトウモロコシが軒先に吊るされているのです。
観音院はひがし茶屋街に近いため、そのあたりの地域でよくみかけます。
なぜトウモロコシなのかは、元々、トウモロコシが雷除けになると信じられていたということからはじまり、粒(マメ)がぎっしり詰まった様を「マメに働く」、ひげが多いので「もうけ(毛)」が多いなどということで、商売繁盛のお守りとされるようになったようです。
芥川龍之介も絶賛した絶景
ひがし茶屋街に観光で行く人で、ここへ行く人は少ないのではないかと思いますが、ひがし茶屋街を上から見ることができる絶景スポットがあります。
宇多須神社の横の坂(かなり急な傾斜)をのぼっていった右手にあるのが宝泉寺です。
この宝泉寺から見えるのが、黒瓦の建物が眼下に広がる金沢らしい絶景です。(撮った写真を探したのですが、見つかりませんでした…)
どんな絶景か気になる方は、宝泉寺の「金沢一の絶景」というページを見てみると、雰囲気が分かると思います。
室生犀星に招かれて金沢に来た芥川龍之介が、ここを訪れた際、この眺めを「金沢一の絶景」と称賛したといわれています。
また、金沢出身の泉鏡花は、ここからの景色を愛したといわれており、「町雙六」という作品でここからの風景を、「川も、橋も、城も森も、天守の櫓も、処々に薄霞した一枚の絵双六の風情である」と表現しています。
ちなみに、ここの境内には五本松があるのですが、泉鏡花の短編小説「五本松」の舞台となったといわれています。(現在の松は当時のものとは違って三代目)
特に、黄昏時が綺麗なようです。
最後に
今回は、吉はしのオープンの時間に合わせてひがし茶屋街に行ったということもあり、
他の店のオープン前だったため、人が少なかったのかもしれません。
朝早い時間や、夕方以降の人の少ない時間を狙って、ちょっと人とは違ったひがし茶屋街を楽しんでみてはいかがでしょうか。